フロートガラスと強化フロートガラスの違い|両者の特徴と費用の相場

「フロートガラスと強化フロートガラスはどう違うの?」
「それぞれの特徴や費用の相場を知りたい」とお考えび方もいるのではないでしょうか。
強化フロートガラスは、フロートガラスに強化加工を施した製品で、衝撃に強く割れにくいという特性を持ちます。
この記事では、フロートガラスと強化フロートガラスの違いや、それぞれのメリット・デメリット、価格の目安を解説します。
目的に合っているガラスを選びたい方は参考にしてくださいね!
フロートガラスと強化フロートガラスの違い
フロートガラスと強化フロートガラスには、構造や機能にさまざまな違いがあります。
ここでは、両者の特徴を詳しく解説します!
フロートガラスの特徴
フロートガラスは、フロート製法でつくられるガラスです。
フロート製法とは、比重の大きい溶融錫の上にガラスを流し、平らで均一な厚みのガラスをつくる製法ですよ。
溶けたガラスが浮かぶ(=float)ため、この名称で呼ばれています。
フロートガラスの特徴は、平面精度と透明度が高いことです。
優れた採光性も備えています。
代表的な用途として、以下のものがあげられます。
【おもな用途】
- 住宅の窓ガラス
- ビルの窓ガラス
- ショーウィンドウ
- ドアガラス
- インテリア
幅広い用途で用いられているため、最も身近な透明ガラスということができます。
安価に入手できることや、製品の種類が豊富であることも特徴です。
万一割れてしまっても、交換用のガラスを簡単に見つけられます。
ただし、破損すると鋭利な破片が飛び散るため注意してくださいね。
強化フロートガラスの特徴
強化フロートガラスは、約700℃まで加熱した通常のフロートガラスの両面に、常温の風を吹き付けて製造するガラスです。
急速に冷却して表面に圧縮応力層を形成することで、ガラスの強度をフロートガラスの3~5倍に高めています。
「強化」ガラス(強化フロートガラス)と呼ばれるのはこのためです。
強化フロートガラスの特徴は、平面精度、透明度、採光性に優れることです。
つまり、強度以外は、通常のフロートガラスと大きく変わりません。
おもな用途は、以下のとおりです。
【おもな用途】
- 住宅の窓ガラス
- ビルの窓ガラス
- ショーウィンドウ
- テーブルの天板
- コンロのカバーガラス
衝撃に備えたい場所で、おもに利用されています。
割れると小さな粒状になるのも、強化フロートガラスの特性です。
通常のフロートガラスのように鋭利な破片が飛び散ったり、大きくひび割れたりすることはなく、安全性が高い点も特徴です。
割れてもケガをしにくいガラスです。
この特徴から、安全ガラスと呼ばれることもあります。
フロートガラスと強化フロートガラスの見分け方
フロートガラスと強化フロートガラスに、見た目の大きな違いはありません。
専門家であっても、外観だけで判別できないことがあります。
実際にガラスが手元にある場合は、どのように見分ければよいのでしょうか。
ここからは、両者の見分け方を解説します!
ガラスに貼られているシールを確認する
強化フロートガラスの中には、認証シールなどを貼り付けているものがあります。
代表例として、一般社団法人日本硝子製品工業会が運用している認証シールがあげられます。
同工業会は、認証シールの目的を次のように説明しています。
認証シールは、ガラス製品の素材・用途区分の中で、「強化ガラス」や「耐熱ガラス」等、特殊な機能を持つ商品に関して、「(ガラス特有の)外観上の区分の困難さ」が、「消費者の購買・使用判断に影響を与える」と判断される場合、当該商品の素材、機能、使用区分等に関して認証シールを貼付けることで、「素材を明示」し、消費者の購買時の判断に資することを目的とする。
引用:一般社団法人日本硝子製品工業会
2000年代に起きた輸入ガラスコップ破損事故を受けて、通産省や東京都から強化ガラスなどの判別の明確化について要請を受けたため認証シールを導入しました。
原則として、フロートガラスにこのようなシールは貼られていません。
したがって、シールを確認すれば強化フロートガラスとフロートガラスを見分けられます。
光の屈折を利用する
偏光板を使って、強化フロートガラスとフロートガラスを区別することもできます。
偏光板とは、特定の方向に振動する光のみを通す光学フィルターです。
この製品で強化フロートガラスを挟むと、七色(虹)の模様が現れます。
ガラスの表面と内側で応力が異なるためです。
フロートガラスでは、このような模様を確認できません。
偏光板が1枚しかない場合は、スマートフォンやタブレット端末の液晶ディスプレイを代用できます(液晶ディスプレイ・強化フロートガラス・偏光板の順で挟んでください)。
虹色の模様をよりはっきりと確認したい場合は、強化フロートガラスの角を偏光板で挟むとよいでしょう。
偏光板は、ホームセンターや家電量販店のほか、オンラインショップなどで購入できますよ。
フロートガラスのメリット
フロートガラスのおもなメリットは次のとおりです。
安価で購入できる
フロートガラスの価格は、強化フロートガラスより原則として安価です。
特別な加工を行っていないためと考えられます。 大量生産されていることも理由としてあげられます。
気軽に取り入れやすい点も、フロートガラスの利点といえます。
予算が限られている場合でも、問題なく選択できるケースが多いですよ!
ただし、具体的な金額はガラスのサイズ、厚み、加工などの条件で異なります。
想定より高くなることもあるため、見積もりをとって確認することが大切です。
選択肢が豊富
幅広いシーンで利用されているため、フロートガラスは選択肢が豊富です。
たとえば、JIS規格で、2mm~25mmまで、14種類の厚さに区分されています(各厚さに誤差の許容範囲があります)。
オーダーガラスであれば、サイズも1mm単位で注文が可能ですよ。
用途に合っている製品を簡単に見つけられます。
加工が容易
加工性に優れる点も、フロートガラスの魅力です。
ガラスカッターやサークルカッターがあれば、専門的な技術がなくても切ったり、穴を開けたりすることができます。
DIYにもおすすめですよ! ただし、切断面でケガをする恐れがあります。
自分でカットする場合は、ガラス用砥石で切断面を磨くなど、安全対策を講じましょう。
フロートガラスのデメリット
フロートガラスには、以下のデメリットもあります。
優れた機能性はない
フロートガラスは、特別な加工を行っていない普通のガラス板です。
耐衝撃性・防音性・断熱性といった高機能は備えていません。
一定の機能は期待できるものの、目的や用途によっては物足りなさを感じる恐れがあります。
フロートガラスでニーズを満たせることを確かめてから選択してくださいね!
割れると鋭利な破片ができる
衝撃が加わったときの安全性にも注意が必要です。
耐衝撃性能を備えているわけではないため、硬いものがぶつかると割れる恐れがあります。
このときに、鋭利な破片が生じる点もポイントです。
扱い方によっては、ケガをすることもあります。
設置する環境を考えてから選択してくださいね。
強化フロートガラスのメリット
続いて、強化フロートガラスのメリットを紹介します。
衝撃に強い
代表的なメリットとして、衝撃に強いことがあげられます。 強化フロートガラスの強度は、通常のフロートガラスの約3〜5倍とされています。 多少の衝撃が加わっても、簡単には割れません。 使用環境によっては、大きな利点となるでしょう。 たとえば、その強度を活かして、テーブルの天板などに利用することもできます。
安全性が高い
強化フロートガラスも、強い衝撃が加わったり、表面に傷ができたりすると割れることがあります。
ただし、割れ方はフロートガラスと異なります。
破片が小さな粒状になるため、割れた場合もケガのリスクを抑えられます。
安全性の高さは、強化フロートガラスの強みです。
強化フロートガラスのデメリット
強化フロートガラスには、以下のデメリットもあります。
フロートガラスより高価
強化フロートガラスの価格は、通常のフロートガラスよりも原則として高価です。
フロートガラスを加工して製造しているためと考えられます。
使用目的を明確にせずに購入すると、無駄な出費につながる恐れがあります。
目的を踏まえて選択することが大切ですよ。
選択肢が少ない
強化フロートガラスの厚みは4mm以上です。
強度を高めるため、一定の厚みを必要とします。 4mm未満でも熱加工処理(強化加工)は行えますが、その強度はフロートガラスの2倍程度です。
環境によっては、希望している場所へ設置できないことがあります。
購入前に確認しておきたい重要なポイントです。
加工性が低い
加工しにくいことも、強化フロートガラスのデメリットとしてあげられます。
たとえば、DIYで切ろうとしても切れません。
切れ目を入れてからハンマーなどで叩くと粉々に割れてしまいます。
したがって、購入後に自分で加工することはできません。
裁断や穴あけなどは、強化加工前に行う必要があります。
フロートガラスと強化フロートガラスのどちらを選ぶべき?
フロートガラスと強化フロートガラスの特徴は異なります。
一概にどちらが適しているとはいえません。
目的や用途を踏まえて、選択することをおすすめします!
基本的な考え方は以下のとおりです。
検討したいポイント | 必要性が高い | 必要性が低い |
耐衝撃性 | 強化フロートガラス | フロートガラス |
安全性 | 強化フロートガラス | フロートガラス |
耐衝撃性や安全性が求められる場合は、強化フロートガラスが適しています。
これらの必要性が低ければ、フロートガラスでも十分です。
機能性では劣るものの、コスト面での利点が期待できます。
フロートガラスと強化フロートガラスの価格の比較
フロートガラスと強化フロートガラスの相場は以下のとおりです。
種類 | 費用の目安(90cm×90cmサイズ) |
フロートガラス | 17,500円 |
強化フロートガラス | 20,000円 |
具体的な金額は、利用する店舗やガラスの厚み、加工の有無などで異なります。
実際の価格は事前に見積もりをとって確認しましょう。
ガラス選びを失敗しないためのポイント
ガラス選びで失敗したと感じる方もいます。
失敗を避けるポイントは次のとおりです。
【失敗を避けるポイント】
- 検討前に予算を決めておく
- ガラスに求める機能を明確にしておく
- 信頼できる店舗に相談する
上記のポイントを意識することで、用途に適したガラスを選びやすくなりますよ。
たとえば、安全性を求める場合は、強化フロートガラスが候補にあがります。
店舗の信頼性を確認する際は、実績や評判を事前に調べておくと安心ですね。
社歴の長い会社は、多くの利用者から支持されてきた実績があり、信頼性が高いと判断できます。
フロートガラスと強化フロートガラスの違いを理解して選択
ここでは、フロートガラスと強化フロートガラスの違いを解説しました。
フロートガラスは一般的な透明ガラスであり、強化フロートガラスは強度を約3〜5倍に高めた製品です。
フロートガラスのおもなメリットは価格が安いことと加工しやすいこと。
強化フロートガラスのおもなメリットは衝撃に強いことと割れてもケガをしにくいことです。
それぞれの特性を理解したうえで、用途に合ったガラスを選ぶことが重要ですよ。
オーダーガラス板専門店のコダマガラスでは、フロートガラス、