【全9種類!】ガラス板の特徴と用途別の選び方

「ガラス板にはどんな種類があるの?」「種類が多すぎて目的に合っているものがわからない」などと考えていませんか。
種類ごとに特徴が異なるため、内容を理解したうえで選ぶことが重要です。
ここでは、身近なガラス9種類の特徴を解説するとともに、用途別におすすめのガラス板を紹介しています。
以下の情報を参考にすれば、どのようなガラス板を選べばよいかがわかるはずです。
ガラス板の選択でお困りの方は参考にしてください。
ガラス板の種類
ガラス板には、さまざまな種類があります。
おもな種類とそれぞれの特徴は以下のとおりです。
フロートガラス
フロート製法によりつくられるガラスです。
フロート製法は、溶けた錫のうえに溶けたガラスを流し、平らなガラスをつくる製法です。
錫の比重はガラスより重いため、溶けたガラスは錫のうえに浮かびます。
したがって、フロート(float=浮かぶ)製法と呼ばれています。
一見すると特殊なガラスに思われがちですが、実際には広く普及している透明板ガラスです。
住宅、店舗の内外装、ショーケース、家具など、幅広い場面で用いられています。
おもな特徴は、平面精度、透視性、採光性、加工性に優れていることです。
また、厚みの選択肢が多いことや他のガラスに比べて価格が安いことも特徴としてあげられます。
たとえば、JISでは厚さで14種類(2.0mm~25.0mm)に区分されています。
さまざまな目的に適した使いやすいガラスです。
ただし、衝撃に強い、熱に強いなど、特別な機能は備えていません。
基本的には「普通の板ガラス」と考えられます。
型板ガラス
一面が平らで、もう一面がデコボコ(模様)しているガラスです。
溶けたガラスを2本(上下)のロールの間に通すロールアウト製法でつくられます。
下側のロールに模様が描かれているため、片面だけデコボコした仕上がりになります。
模様に、さまざまな種類がある点もポイントです。
おもな特徴として、光を取り入れつつ、視線をカットできることがあげられます。
模様で光の屈折が起きるため、外からは中の様子がはっきりと見えません。
具体的な見え方は、片面に描かれている模様で異なります。
部屋の明るさは、フロートガラスとほぼ同じです。
模様で光が拡散されることにより、やわらかな光で全体を包み込むイメージになります。
以上の特徴を生かして、部屋の窓、浴室の窓など、プライバシーを確保したい場所で広く使用されています。
注意点は、室内から屋外への視線も遮られる点です。
ガラスの存在感が大きくなりやすいことや部屋が暗い印象になりやすいことにも気をつけてくださいね。
すりガラス
フロートガラスの片面に加工を施して半透明にした(艶を消した)ガラスです。
具体的には、研磨剤(金剛砂)を吹き付けたり、金属ブラシで擦ったりする加工を行っています。
これらの加工により、表面にキズができて、サラサラあるいはザラザラした質感になります。
おもな特徴は、ガラスの向こう側が見えにくいことです。
白っぽい半透明状態となることで、優れた目隠し効果が得られます。
一方で、光を遮ることはありません。
細かなキズで均一に光を拡散するため、やわらかな明るさを実現できます。
以上の特徴を生かして、住宅、商業施設など、幅広い場面で用いられています。
身近な例としてあげられるのが障子ガラスです。
ただし、表面が濡れると目隠し効果は失われてしまいます。
細かなキズの上に水の膜ができると光を乱反射できないためです。
また、表面がサラサラ、ザラザラしているため、指紋や汚れが付着すると落としにくい傾向があります。
設置する環境に注意してくださいね!
網入り板ガラス
ロールアウト製法により、金属線をガラスの内側に挿入したものです。
具体的には、溶けたガラスを2本のロールに通す際に金属線を挿入します。
金属線の形状により以下の種類にわかれます。
金属線の形状 | 種類 |
---|---|
菱形 | 菱形ワイヤー |
格子形 | クロスワイヤ― |
線状 | 線入りガラス |
おもな特徴は、火災で割れたときに破片が飛び散りにくいこと、崩れ落ちにくいことです。
金属線が支えとなって形状を保持することで、延焼や類焼の防止に寄与します。
以上の特徴から、建築基準法で防火設備として所定の場所へ設置することが義務づけられています(線入りガラスは除く)。
代表的な用途は、防火性能を求められる住宅、商業施設、学校、公共施設などです。
線入りガラスは、防煙垂れ壁や店舗の空間づくりなどに多く用いられています。
ちなみに、金属線を挿入していても防犯性能は期待できません。
衝撃が加わると簡単に割れてしまいます。
用途を理解したうえで選択してくださいね!
和紙調ガラス
和紙調の樹脂フィルムをガラスに貼り付けるなど、和紙調の中間膜を合わせガラスで挟み込んだりしている製品です。
おもな特徴として、和の空間を演出できることがあげられます。
ガラスを使用しているため、本物の和紙に比べると取り扱いは簡単です。
湿気に強く、汚れにくいうえ、汚れた場合も簡単に拭き取れます。
張り替え作業を必要としない点もポイントです。
また、樹脂フィルムを張り付けているため、割れたときに破片の飛散を防げます。
安全性の高さも、魅力のひとつといえますよ!
基本的な用途は、住宅や商業施設などの内装です。
照明のガラスカバーに用いられることもあります。
ただし、デザインや質感は製品により大きく異なります。
信頼できるメーカーの製品を選ぶことも大切ですよ!
複層ガラス
2枚のガラスの間に空間を確保するための部品を挟んで空気層をつくっている製品です。
空気層は、吸湿材により乾燥した状態に保たれています。
おもな特徴は、空気の対流で熱移動を抑えて断熱性を高めていることです。
窓を通した熱の出入りを防げます。
したがって、冷暖房効率を高められますよ!
また、結露対策にも有効です。
使用するガラスの組み合わせで、さまざまな機能を付加できる点もポイントです。
たとえば、通常の板ガラスに金属膜でコーティングしたLow-Eガラスを組み合わせると、断熱性や遮熱性の向上が図れます。
あるいは、室内側を防火ガラスにしたり、どちらか一方を防犯合わせガラスにしたりすることも考えられます。
非常に魅力的な製品ですが、価格はやや割高です。
また、複数のガラスを使用していても、防音性はそれほど高くありません。
これらの点も踏まえて、検討を進めてくださいね。
合わせガラス
特殊なフィルムを2枚のガラスで挟み込み接着した製品です。
フィルムの素材として、ポリビニルブチラール、エチレン酢酸ビニルなどがあげられます。
おもな特徴は、割れたときに破片が飛び散りにくいことと衝突したものが貫通しにくいことです。
飛散防止機能と耐貫通性能に優れた製品です。
したがって、防災安全性が求められるシーンや防犯性が求められるシーンで多く用いられています。
ガラスとフィルムの組み合わせで、さまざまな機能を付加できる点もポイントです。
たとえば、カラーフィルムを挟んでデザイン性を高める、振動を熱に置き換えるフィルムを挟んで防音性を高めるなどが考えられます。
ただし、一般的なガラスに比べると割高です。
また、構造上の理由で重さもあります。
メリット・デメリットを踏まえて検討を進めることが大切ですよ。
耐熱ガラス
ホウ素などの素材を混ぜて、熱膨張率を下げているガラスです。
通常のガラスは、熱伝導率が低いため局所に熱を加えると、熱を加えた箇所と加えていない箇所に体積の差が生じて割れてしまいます。
耐熱ガラスは、熱を加えてもほとんど膨張しないため簡単には割れません。
具体的な耐熱温度は製品により異なります。
製品ごとの耐熱温度とおもな用途は以下のとおりです。
製品 | 耐熱温度 | おもな用途 |
---|---|---|
石英ガラス | 1,000℃ | 焼却炉の窓など |
ファイアライト | 750℃ | 薪ストーブの覗き窓など |
テンパックス | 450℃ | 厨房の間仕切りなど |
使用環境を踏まえたうえで、適切に選ぶことが重要です。
強化フロートガラス
ガラスを700℃程度まで加熱してから常温の空気を吹き付けて急速冷却した製品です。
表面に圧縮応力層を形成することで強度を高めています。
おもな特徴は、一般的なガラスに比べて3~5倍の強度があることと割れたときに細かな粒状になることです。
つまり、衝撃が加わっても割れにくいうえ、割れた場合もケガをしにくいといえます。
また、一般的なガラスより耐熱性(耐熱温度150~200℃)も優れます。
おもな用途は、住宅の窓ガラス、テーブルの天板、ショーケースなどです。
安全性が求められる場所で幅広く用いられています。
ただし、一点に強い力が加わると、簡単に割れることがあります。
防犯用途で使用したい場合は注意が必要です。
DIYではカットできない点にも留意する必要があります。
用途別のガラスの選び方
続いて、用途別にガラスの選び方を解説します。
防寒対策
防寒を目的とする場合は、複層ガラスがおすすめです!
2枚のガラスの間に、空気の層を設けているため、熱の移動を抑えられます。
暖房の効率が向上し、窓際でも冷えを感じにくくなります。
また、一般的なガラスに比べて、結露もできにくくなります。
寒冷期に適したガラスです。
暑さ対策
うだるような暑さをどうにかしたいと考えている方には、片側のガラスにLow-E膜をコーティングした複層ガラスがおすすめです!
一般的な複層ガラスよりも断熱性能、遮熱性能に優れます。
同タイプの製品には、日射取得型と日射遮蔽型があります。
暑さ対策を想定しているのであれば、日射遮蔽型が適していますよ。
日射熱を遮断し、快適な室内環境を実現できます。
冷暖房費の節約
冷暖房費を抑えたい場合も、複層ガラスがおすすめですよ!
断熱性能が高いため、冷房効率、暖房効率を高められます。
Low-Eガラスを用いたタイプは、特に高い効果を期待できます。
長期にわたり効果が持続する点もポイントです。
イニシャルコストはかかりますが、長い目で見ると節約につながる可能性があります。
防犯対策
防犯対策を考えている場合は、防犯合わせガラスがおすすめですよ!
耐貫通性能に優れる強靭なフィルムを接着しているため、悪意のある第三者が窓を簡単に割れなくなります。
警視庁が発表している資料によると、一戸建住宅における侵入窃盗の侵入手口は以下のとおりです。
侵入手口 | 件数(割合) |
無締り | 5,950件(47.6%) |
ガラス破り | 4,454件(35.7%) |
ドア錠破り | 328件(2.6%) |
侵入に5分かかると約7割の侵入者が諦めることも示されています。
合わせガラスは、効果的な防犯対策と考えられます!
出典:警視庁住まいる防犯110番「手口で見る侵入犯罪の脅威」
出典:警視庁住まいる防犯110番「侵入者プロファイリング~心理と行動③」
防音対策
騒音が気になる場合や音漏れを防ぎたい場合は、振動を熱に置き換えて音を消滅させる特殊なフィルムを挟み込んだ防音合わせガラスがおすすめですよ!
全ての音域で遮音性能を高められます。
紫外線をカットできる点や割れたときに破片の飛び散りを防げる点も魅力です。
室内の快適性を高められますよ。
種類を理解して目的にあったガラス板を選択
ここでは、ガラス板の種類について解説しました。
ガラス板には、フロートガラス、型板ガラス、複層ガラスなどの種類があります。
それぞれの特徴は異なるため、目的にあわせて選ぶことが大切ですよ。
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ガラス板をお探しの方は、お気軽にご相談ください。