ガラス板をカットする方法|専用工具の使い方とカットのポイント

「ガラス板ってどうやってカットすればよいの?」「必要な道具や道具の使い方を教えてほしい」などと考えていませんか。
ガラス板は、専門業者でなくてもカット可能です。
ただし、途中で割れたりケガをしたりする恐れがあるため、慎重に作業を行うことが重要です。
ここでは、ガラス板のカット方法を形状別に解説するとともに、必要な道具や道具の使い方、カット時に意識したいポイントなどを紹介しています。
理解を深めたい方は参考にしてくださいね。
ガラス板をカットする際に必要となる主な道具
ガラス板をカットするときに、用意したいおもな道具は以下のとおりです。
【必要な道具】
- ガラスカッター
- 定規(ゴム付き)
- 油性マジック(マッキー極細)
- 灯油
- ゴム手袋
ガラスカッターは、ガラス板をカットするために使用する専用の工具です。
ガラス板の表面に「にゅう」と呼ばれるV字の切れ目を入れて折れる状態にします。
この工具がないと、原則としてガラス板はきれいにカットできません。
定規は「にゅう」を真っすぐ入れるため使用します。
ガラスカッターと同じく、必ず用意しておきたいものといえます。
使用する定規は、ガラス切断用のものを選びましょう。
十分な長さと厚みがあるうえ、キズや滑りを防ぐゴムもついているため、作業をスムーズに行えます。
油性マジックは、ガラス板にラインを書くときに使用します。
マッキー極細の使用がおすすめです。
灯油は、カッティングオイルの代用品です。
臭いはやや強いですが、手軽に用意できます。
使用のおもな目的は水分の付着を防ぐことと刃の劣化を防ぐことです。
細かな破片の飛び散りも防げますよ。
灯油が手元にない場合は、ミシン油で代用できます。
ゴム手袋は、作業の各プロセスで使用します。
滑りにくく、手のケガも防げるため、あると便利です。
以上のほかでは、ゴーグルを使用する方もいます。
ガラスを割るときに、細かな破片が飛び散る恐れがあるためです。
専用のゴーグルでなければならないという決まりはありません。
100円均一などで販売している伊達眼鏡を代用することもできますよ!
ガラスカッターの使い方
ガラス板のカットで、重要な役割を担うのがガラスカッターです。
ここでは、ガラスカッターの基本的な使い方を解説します。
ガラスカッターに灯油を注ぐ
ガラスカッターを使用する前に、本体に灯油を注ぎます(カッティングオイル、ミシン油でも構いません)。
基本的な手順は次のとおりです。
【灯油を注ぐ方法】
- 刃の反対側についている裏蓋を外す
- ガラスカッターに灯油を注ぐ
- 1の裏蓋を本体にはめる
ホームセンターなどで販売している注入用の容器を使用すると簡単に注げますよ!
灯油がこぼれた場合は、作業中に手が滑らないよう、しっかりと拭き取りましょう。
ガラスカッターの持ち方とガラスに当てる角度
ガラスカッターの持ち方は、鉛筆の持ち方と基本的に同じです。
ガラスに当てる角度は、前から見たときと横から見たときで異なります。 前から見たときの角度は、刃がガラスに対して垂直になるように意識します。
刃が斜めに入ると、ガラス板をきれいにカットできません。
横から見たときの角度は、原則として自由です。
ガラスカッターを立てて使用すること、寝かせて使用することができます。
ただし、寝かし過ぎると刃が浮いてしまいます。
この点には注意してくださいね。
ガラスカッターの力加減
使用する際の力加減にも気をつける必要があります。
ガラスカッターの目的は、ガラスの表面に「にゅう」を入れることです。
ガラスの切断を目的としているわけではありません。
したがって、適度な力加減を意識することが大切です。
具体的な目安は、2~5kg程度と考えられています。
力が弱すぎるとき、強すぎるときの影響は次のとおりです。
力加減 | 影響 |
---|---|
弱すぎる | 切れ目を入れられない。ガラス板が割れにくくなる |
強すぎる | ガラス板を割ってしまう恐れがある |
適切な力加減は、ガラスカッターの角度によっても変化します。
寝かせて使用すると、原則として必要な力は小さくなります。
スケール(はかり)があれば、力加減を確かめられますよ。
何度かシミュレーションを行い、感覚をつかんでおきましょう。
ガラス板カットの原理
ガラス板のカットというと、ガラスを切ると考える方が多いはずです。
しかし実際は、切れ目(=にゅう)を起点にガラス板を割ってカットします。
切れ目を起点にする理由は、力を加えるとここから亀裂が延びていくためです。
つまり「にゅう」を計画的に入れれば、狙った大きさにガラス板をカットできます。
具体的なカットの流れは次のとおりです。
【カットの流れ】
- ガラスカッターでガラス板に「にゅう」を入れる
- ガラス板を山折りするイメージで1の「にゅう」に力を加える
- 「にゅう」の先端に外側へ引っ張る力が加わる
- 「にゅう」から亀裂が延びてガラス板が切断される
ここまでの説明でわかるとおり、ガラス板のカットで重要なポイントになるのが「にゅう」の入れ方です。
何かしらの理由で斜めに入ったり、キズが入ったりすると、きれいにカットできない恐れがあります。
ガラスカッターの角度、力加減などを確認しながら丁寧に入れることが大切です。
ちなみに、ガラス板をカットすると、切断面が鋭利な状態になります。
ケガを防ぐため、ガラス用の砥石で面取り処理を行ってくださいね。
ガラス板に割れ目を入れる方法
ガラス板をきれいにカットするには、「にゅう」を正確に入れることが重要です。
「にゅう」の基本的な入れ方を解説します。
【「にゅう」の入れ方】
- ガラス板を安定した場所にセットする
- カットしたい位置にガラス切断用の定規をあてる
- 2の定規に沿って灯油を塗る
- カットしたい位置にガラスカッターをセットする
- セットしたガラスカッターを奥から手前へ引く
以上の方法で、ガラス板に「にゅう」を入れられます。
各工程のポイントを解説します。
ガラス板を安定した場所にセットする
不安定な場所にガラス板をセットすると、作業中に落下して破損する恐れがあります。
また、ガラスカッターと引くときに、ガラス板が動いて適切な「にゅう」を入れられないことも考えられます。
大きい作業台など、安定した場所にガラス板をセットすることが大切です。
カットしたい位置にガラス切断用の定規をあてる
ガイド役になる定規をカットしたい位置にセットします。
ポイントは、ガラス切断用の定規を使用することです。
ゴムがついているため、ガラスにセットしても滑りません。
長さと厚みがあるため、安定して作業できます。
ガラス切断用の定規は、オンラインショップなどで購入できますよ。
2の定規に沿って灯油を塗る
筆などを使い、定規に沿って灯油を塗ります。
この作業の目的は、水分の付着を防ぐことです。
ガラスの表面に水分がついていると「にゅう」を正しく入れられません。 狙いどおりに「にゅう」を入れるために、必要な準備といえます。
カットしたい位置にガラスカッターをセットする
「にゅう」の始点にガラスカッターをセットします。
持ち方は、鉛筆で文字を書くときと同じです。
ガラス板の端に合わせるようにしてくださいね。
奥から手前へセットしたガラスカッターを引く
セットした位置から手前へ、ガラスカッターを引いて「にゅう」をつくります。
角度や力加減に気をつけることが大切です。
角度はガラスに対して垂直(前から見た場合)、力加減は2~5kgを意識します。
迷わずに、一定の速さで手前に引くこともポイントですよ!
ガラス板をカットする方法
ここからは「直線切り」「円切り」「異形」にわけて、ガラス板のカット方法を解説します。
直線切り
直線切りは、ガラス板を真っ直ぐカットする方法です。
最も基本的な切り方といえます。
用意する道具と作業の流れは次のとおりです。
【使用する道具】
- ガラスカッター
- ガラス切断用の定規
- 灯油
- 筆など
- ゴム手袋
- ラニングプライヤー(あれば)
- ガラス用の砥石
【作業の流れ】
- 裏蓋を開けてガラスカッターの本体に灯油を注ぐ
- ガラス板を安定した台などにセットする
- 切りたい位置に定規をあてる
- 筆などを使い定規に沿って灯油を塗る
- 定規に沿ってガラスカッターを引く
- 山折りのイメージで「にゅう」に力を加える
- ガラス用の砥石で切断面を処理する
ガラス切断用の定規は、カットしたい位置から数ミリ横にずらしてセットします。
ガラスカッターに厚みがあるためです。
ガラス板は手で割れますが、不安を感じる場合はランニングプライヤーを使用することもできます。
ラニングプライヤーは「にゅう」に沿ってガラスを割る工具です。
カット後の切断面で手を切らないように、ガラス用の砥石で面取りを行ってくださいね。
円切り
円切りは、ガラス板を円形にカットする方法です。
直線切りに比べると、難易度はやや高くなります。
使用する道具と作業の流れは以下のとおりです。
【使用する道具】
- ガラスサークルカッター
- 灯油
- 筆など
- ゴム手袋
- ガラス用の砥石
【作業の流れ】
- ガラスサークルカッターをガラス板にセットする
- 1を回転させて、カットする箇所に灯油をつける
- 刃をガラス板に押し付けながらガラスサークルカッターを1回転させる
- ガラスサークルカッターをガラス板から外す
- 3で付けた円の内側からガラス板を軽く押して亀裂を入れる
- ガラスサークルカッターの先端を取り外す
- 6を使って、円の上下左右に合計4カ所の切れ目を入れる
- 山折りするイメージで7の切れ込みに力を加えて余分なガラス板を取り外す
- 円形のガラス板を取り出して、切断面をガラス用の砥石で処理する
灯油は、回転するガラスサークルカッターの先端部分を追いかけるように塗布します。 簡単にいえば、刃の通り道に塗布するイメージです。
カットのポイントは、ガラスの表面に切れ目を入れてから、力を加えて円全体に亀裂を入れることです。
亀裂がしっかり入ると、ガラス板に白い円が浮かびあがります。
上下左右の切れ込みは、円と接続しないようにしてくださいね。
異形
直線でも円形でもない形にガラス板をカットする方法です。
直線切りに比べると、難易度は高いと考えられます。
使用する道具と作業の流れは次のとおりです。
【使用する道具】
- ガラスカッター
- ガラス切断用定規
- 曲線用ガラスカッター
- 油性ペン
- 灯油
- ゴム手袋
- ガラス用砥石
【作業の流れ】
- 直線切りの要領で、直線部分をカットする
- ガラス用砥石で切断面を処理する
- 安定した台の上に型紙を広げる
- 3の上にガラス板をのせる
- ガラス板の上から油性ペンで型紙の線をなぞる
- ガラス板の余分な部分をカットする
- 5の線に沿って曲線用ガラスカッターで「にゅう」を入れる
- ガラス板の裏側からガラスカッターのお尻で「にゅう」を軽く叩く
- 山折りのイメージで「にゅう」に力を加えてガラスを割る
- 切断面をガラス用砥石で処理する
※形状によっては型紙が必要になることがあります。
使用する道具や作業の流れは、作りたいガラスの形状で異なることがあります。
曲線の切れ目は通常のガラスカッターでも入れられます。
しかし、曲線用ガラスカッターを使うほうが簡単です。
ここでは、曲線用ガラスカッターの使用をおすすめします。
作業のポイントは、余分な部分を先にカットすることと、亀裂を正確に入れることです。
亀裂の入り方が不十分だと、意図しない場所で割れてしまうことがあります。
焦らずにじっくりと作業を進めることが大切ですよ。
少しでも不安を感じる場合は、専門業者に依頼してくださいね!
ガラス板をカットする際のポイント
ここからは、ガラス板をカットするときに意識したいポイントを解説します。
ポイント①力を入れすぎない
ガラスカッターで入れる「にゅう」は、ガラス板を割るための起点となります。
刃を使ってガラスを切断するわけではありません。
切れ目をつくるときに、力を入れすぎないようにしてくださいね。
ガラス板に過剰な力が加わると、意図しない箇所で破損する恐れがあります。
同様に、力を抜きすぎることもおすすめできません。
ガラス板に十分な切れ目を入れられないためです。
「にゅう」が不十分だと、ガラス板を割ろうとしても割れないなどのトラブルが起こりやすくなります。
角度により増減はあるものの、ガラスカッターに加える適切な力の目安は、2〜5kg程度とされています。
スケール(はかり)の天板を押すと、加わっている力を確かめられますよ。
正確な力を図ることはできませんが、感覚を掴みたいときにおすすめです。
ポイント②途中で止めない
「にゅう」を入れるコツは以下のとおりです。
【「にゅう」を入れるコツ】
- 力・角度・速度を一定に保つ
- 最初から最後までひと息で入れる
気になる点があっても、途中で止めないことが大切です。
力を入れ直したい、角度を見直したいなどの理由で止まると、切れ目が飛んでしまったり、切れ間の深さが変わってしまったりする恐れがあります。
ガラス板をうまく割れない理由になりうるため注意が必要です。
途中で止めずに「にゅう」を入れるポイントは、事前の準備を確実に行うことです。
ガラスカッターを動かす前に、力加減、角度、速度などを確認しておくと、途中で止まるリスクを抑えられます。
最初から最後まで一息で行うことを意識しましょう。
ポイント③同じ個所を2回切らない
「にゅう」を入れるときに、失敗したと感じることがあるはずです。
具体例として、角度を誤ったなどがあげられます。
このようなケースでも、修正するために同じ箇所を切ることはおすすめできません。
「にゅう」の形状が乱れて、ガラス板をきれいに割れなくなってしまいます。
失敗した場合は、同じ箇所を再度切るのではなく、ガラス板を裏返して反対側からカットしましょう。
この方法であれば、改めて「にゅう」を入れ直せます。
ちなみに、途中で止まってしまった場合もガラス板を裏返すと修正できます。
この方法を覚えておけば、失敗した際にも落ち着いて対応できますよ。
ポイント④ランニングプライヤーを使う
ガラス板が厚い場合は、ランニングプライヤーの使用をおすすめします(5mm以上は原則としてランニングプライヤーが必要です)。
この工具を使うと、軽く握るだけで切れ目に沿ってガラス板を割れます。
基本的な使い方は以下のとおりです。
【ランニングプライヤーの使い方】
- ガラスカッターでガラス板に「にゅう」を入れる
- 「にゅう」とランニングプライヤーのガイドラインを合わせる
- ランニングプライヤーを軽く握る
- ガラス板の反対側に回る
- 反対側の「にゅう」から同じ作業を行う
ランニングプライヤーを使えば、強い力を加えなくてもガラス板を割れます。
手軽に使える点と失敗しにくい点が魅力です。
ただし、ランニングプライヤーには対応ガラス厚があります。
厚さを確かめてから、使用することが大切ですよ。
ポイント⑤やっとこを使う
ガラス板の端を細く切りたい場合は、ランニングプライヤーではなく「やっとこ」を利用します。
ランニングプライヤーだと大きすぎるためです。
やっとこは、板金などをつかむために使われる工具です。
ガラス板のカットでも、広く用いられていますよ。
基本的な使い方は次のとおりです。
【やっとこの使い方】
- 直線切りの要領でガラス板に「にゅう」を入れる
- 細いほうのガラスをやっとこで掴んで横に引っ張る
以上の方法でガラス板を割れます。
ただし、幅30mm以下の難易度は、やっとこを使っても高めです。
自信がない場合は、専門業者へ依頼してくださいね。
表面に凹凸があるガラス板のカットの仕方
ガラス板の中には、表面に凹凸があるものも見られます。
凹凸を意識せずカットすると、意図しない場所で割れることがあるため注意が必要です。
このタイプのガラス板は、原則として平らな面(ツル面)からカットします。
両面がデコボコしている場合も、基本的な考え方は同じですよ。
より平らな面からカットしてくださいね。
格子模様のガラスは、基本的に一方の面に縦線、もう一方の面に横線が入っています。
これらが組み合わさって格子模様を形成しているのです。
それぞれのラインと平行になるようにカットしたい場合は、山になっている部分(盛り上がっている部分)に「にゅう」を入れます。
谷になっている部分は刃が届かないためです。
谷になっている箇所でカットしたい場合は、裏面から「にゅう」を入れます。
「にゅう」がラインと直角になるため、カタカタしますが気にせずに切れ目を入れてくださいね。
ガラス板のカットは手順を理解して慎重に
ここでは、ガラス板のカットについて解説しました。
基本的には、ガラスカッターで入れた切れ目に力を加えて割ります。
具体的な作業の流れは、ガラスの形状で異なります。 難易度も作業工程によりさまざまです。
ガラスが割れたり、手を切ったりすることがあるため、ガラス板のカットは慎重に行ってくださいね。
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