スペーシアガラスの交換にかかる値段は?押さえておきたい基本

日本板硝子株式会社の「スペーシア」は、機能性に優れた真空ガラスです。ただ「スペーシアへの交換を検討しているけれど、値段がどの程度になるか心配」という方もいるのではないでしょうか。
ガラスを交換するとなると、かなりの費用がかかりそうですよね。
そこで、スペーシアガラスへの交換にかかる値段の目安について紹介します。この記事を読むことで交換するにあたり押さえておきたいポイントがわかるようになるので、ぜひ役立ててみてください。
スペーシアガラスを交換する値段はどのくらい?
スペーシアガラスの交換にかかる費用は、ガラス単体で1㎡あたり5~9万円程度が参考価格 です。ただ、さまざまなオプションなどを加えると10万円を超えるケースも少なくありません。
たとえば、ガラスだけではなくサッシも同時に交換したり、ガラスのサイズが大きかったりする場合などは値段が高くついてしまうこともあります。どの業者に依頼するのかによっても値段が変わってくるので、よく検討したいですね。
なお、ガラスの交換作業は、一般的に半日~1日程度で完了します。
スペーシアガラスを交換する際はサッシの交換も必要なのか
ガラスを交換する際、同時にサッシも交換しなければならないのでしょうか。基本的に、サッシに問題がなければガラスを交換するタイミングで一緒に交換する必要はありません。
ただし、これまで使用していたものよりも重いスペーシアガラスに交換する場合、既存のサッシでは重量に耐えきれなくなることもあります。こういったケースでは、サッシの同時交換についても考えていかなければなりません。
断熱対策や防露対策でガラスを交換する場合
通常のアルミサッシを使用していて断熱対策や防露対策のためにスペーシアガラスに交換するような場合は、サッシの交換についても検討してみることをおすすめします。これは、通常のアルミサッシは熱の影響を受けやすいこともあり、十分な断熱効果や防露効果が期待できないためです。
スペーシアガラスを使用するだけでも断熱効果や防露効果は期待できますが、それだけではサッシ部分が冷たくなること を完全に防ぐことはできません。特に冬場に多くの雪が降る地域などではアルミサッシの影響でなかなか部屋が暖まらない状況になることも考えられます。暖房代も高くついてしまうので、断熱性や防露効果を高めるためにもサッシを機能性が高いものに交換してみてはいかがでしょうか。
スペーシアガラスの基本情報
スペーシアガラスの交換について深く考えていく前に、そもそもどのような特徴を持つガラスなのか理解を深めておくことをおすすめします。
スペーシアガラスは真空ガラスと呼ばれる種類のガラスです。真空ガラスとは、2枚のガラスの間が真空状態になっているガラスのことをいいます。
一般的なフロートガラスとの違い
一般的なガラスは「フロートガラス」と呼ばれるものです。フロートガラスは1枚タイプのため 真空層はありません。真空層があるスペーシアガラスは、通常のフロートガラスと比べて約4倍もの断熱性を持つのが特徴です。
そのため、断熱性能を高める目的で選ばれています。
スペーシアガラスの特徴
大きな特徴として挙げられるのが、断熱性の高さや結露の防止効果、簡単に交換できることなどです。それぞれ解説します。
断熱性能が高い
スペーシアガラスは、断熱性能が優れています。一般的なフロートガラスよりも断熱性が高いだけではなく、通常の複層ガラスよりも上です。
複層ガラスとは、2枚のガラスの間にある中空層に、スペーサーと呼ばれる厚みのある部材を挟むことで、ガラス同士の間に空間を作るガラスのことをいいます。中空層には、空気やアルゴンガスなどのガスが封入されている形です。封入されている気体の働きで熱の伝導や対流が起こりにくくなるため、複層ガラスは一般的なフロートガラスよりも高い断熱性能を持ちます。
スペーシアガラスも複層ガラスの一種ではありますが、従来の複層ガラスとは異なり、空気やアルゴンガスは封入されておらず、真空状態になっているのが特徴です。従来の複層ガラスも確かに断熱性能は高いですが、気体が入っている以上、熱の伝導や対流は起こります。
一方、スペーシアガラスは中が真空状態になっていて熱の伝導や対流が理論上起こらないことから、従来の複層ガラスよりも高い断熱性能を持つわけですね。
断熱性能が高いということは、それだけ室内外の熱の移動を抑えられるということ。夏場は外の暑さが室内に伝わりにくくなり、冬は室内の温度を外に逃がすのを抑えられます。
これにより、冷暖房の効率が上がるのもポイントです。また、断熱性能によって室内の温度を安定させる効果もあるので、快適に過ごせるのも特徴です。
結露を防止できる
家の中で結露が発生するとカビの原因にもなるので、何とか対策を取りたいですよね。結露によって発生するカビは不衛生であることに加え、健康被害も引き起こします。
また、ガラスの結露に触れたカーテンにひどいカビがついてしまえば、買い替えが必要になることも。
スペーシアガラスは、結露を防止したい場合にもぴったりのガラスです。そもそも、なぜ結露が起こるのでしょうか。
空気は温度が高くなるほどたくさんの水蒸気を含むことができますが、温度が低くなればその分、保持できる水蒸気の量が減ります。窓ガラスなど、冷えた物体の表面に空気が触れて冷えることにより、空気中に含まれていた水蒸気が保持できなくなり、水滴として現れるのが結露の仕組みです。
ですが、スペーシアガラスの場合は、一般的な1枚タイプのフロートガラスとは異なり、複層ガラスであるため直接外の空気が家の内側のガラスに触れることがありません。断熱性能で紹介したように2枚のガラスの間は真空状態になっていて外気温が伝わりにくいようになっているので、結露を防止できる仕組みです。
結露は夏や冬など、外気温と室内の温度差が発生しやすい環境で起こるので、1年を通して結露に悩まされることなく過ごしたいという方は、スペーシアガラスが向いていますね。
なお、スペーシアガラスにしてもアルミサッシを使用している場合はサッシ部分に結露が発生するので、断熱性・結露防止効果を持ったサッシへの交換もおすすめします。
簡単に交換できる
ガラスを交換するというと大掛かりな作業のように思いますが、既存のサッシをそのまま使用する場合は、ガラス交換のみで簡単に断熱性を高められます。
現在通常のフロートガラスを使用している場合でも、そのサッシのままスペーシアガラスへの変更が可能です。
これは、スペーシアが厚みのないガラスであることが関係しています。スペーシア以外の複層ガラスは厚みがあるため、基本的にフロートガラスのサッシは使用できません。
そのため、従来の複層ガラスよりもスペーシアガラスの方が交換しやすいといえますね。
ただし、詳しくは後ほど紹介しますがスペーシアガラスにはいくつか種類があり、その中には交換が容易ではないものもあります。現在一枚ガラスを使用しており、そのサッシを使用して交換できる種類を選びたいと考えている方は、注意して選んでみてくださいね。
スペーシアガラスの種類
スペーシアガラスには、いくつかの種類があります。ここではそれぞれの種類の特徴を紹介していくので、交換を検討している方はどの種類が向いているのかチェックしてみてください。
スペーシア
スペーシアは、最もオーソドックスな種類です。紹介してきたように、中空層を真空にすることで断熱性能を高めています。
また、スペーシアの特徴として、Low-Eガラスが使われていることが挙げられます。Low-Eガラスとは、ガラスの表面部分にLow-E膜と呼ばれる金属膜をコーティングしたガラスのことです。このLow-E膜には太陽の熱や、暖房などで温めた熱を吸収・反射する働きがあります。
スペーシアは複層ガラスとしての断熱性能に加え、Low-E膜によっても断熱性能を高めているのが特徴です。
外気温-26℃になるまで結露の発生を抑えてくれるので、時期によってはいつも窓が結露だらけになってしまうと悩んでいる方に向いています。
また、省エネ性能に優れているのも魅力です。一枚ガラスと比較すると約40%、一般的な複層ガラスと比較した場合でも約20%ものエネルギーを削減可能です。
断熱窓のリフォームを検討しているのであれば、スペーシアからチェックしてみてはいかがでしょうか。性能と価格のバランスにおいても優れています。
スーパースペーシア
通常のスペーシアよりも断熱性にこだわりたい場合には、スーパースペーシアと呼ばれる種類がおすすめです。スーパースペーシアは、真空層を保持するのに必要なスペーサーの幅を通常のスペーシアよりも拡大させることにより、大幅に断熱性能を高めています。
従来のものは20mmのマイクロスペーサーが使用されていますが、スーパースペーシアは28mmに拡大しました。非常に断熱効果が高いので、結露に悩んでいる場合にも向いていますね。
その断熱性能はトリプルガラス以上ではありますが、一枚ガラス用のサッシでも収まる厚さなのも特徴です。
スペーシアクール
リフォームする場合に検討したい種類のガラスとして挙げられるのが、スペーシアクールです。
日射熱をカットする効果が高いので、強い光が当たりやすい位置にある窓などに取り入れてみてはいかがでしょうか。特に夏場に強い日差しが入り込む部屋の場合、太陽光が原因で室内が高温になってしまうことがあります。
スペーシアクールは太陽熱を51%もカットしてくれるので、冷房効率も良くなりますね。
片面のガラスに遮熱高断熱Low-E膜という金属膜をコーティングすることにより、通常のスペーシアよりも遮熱効果がプラスされています。
また、UVカット効果が大きいのも特徴。紫外線の約60%をカットします。
なお、厚さは通常のスペーシアと同様で6.2mmです。そのため、一般的なフロートガラスからの交換であってもサッシを交換する必要はありません。
スペーシア静
スペーシア静は、通常のスペーシアと比較して遮音性能を高めた種類です。
Low-Eガラスを特殊な防音膜で挟んだガラスを採用しています。そのため、外の音が気になる、または家の中で楽器を演奏することがあり音漏れ対策をしたいといった場合に向いていますね。
また、UVカット効果が大きいのも特徴です。紫外線の侵入を99%以上カットするので、できるだけ夏場に快適に過ごしたいと考えている方から選ばれています。
なお、フロートガラスからスペーシア静に変更するだけでも遮音性は高まりますが、さらに遮音性を高めたいと考えているのであれば、サッシも遮音性能に優れたものにするのがおすすめです。防音サッシに交換するか、内窓リフォームも検討してみてはいかがでしょうか。
スペーシア静にスペーシアクールの機能を付加した製品もあるので、遮音性に加えて遮熱効果も求めている場合はそちらをチェックしてみると良いですね。
スペーシア21
断熱性能が非常に高い種類を選びたい場合に適しているのが、スペーシア21です。スペーシアとLow-E複層ガラスの間に空気よりも熱伝導率が低いアルゴンガスを封入しています。
超高断熱タイプとなっており、その性能は50mm厚のグラスウールに匹敵するほどです。
たとえば、寒冷地の場合は窓を大きく取り過ぎると寒くて困ってしまうことがあります。そういった場合も断熱性能に優れた窓ガラスを取り入れれば、大きな窓を実現できるはずです。
UVカット率も高いので、夏の強力な紫外線に対し室内でもしっかり備えておきたい方に向いていますね。遮熱クリアタイプについては紫外線の約74%をカットできます。
紫外線は一年中降り注いでいるので、年間を通してしっかり対策しておきたいですよね。室内にいても紫外線の影響を受けるので、窓ガラスで対策してみてはいかがでしょうか。
ただし、注意しなければならないのが厚みに関することです。通常のフロートガラスのサッシをそのまま使えるのがスペーシアの大きな魅力ではありますが、スペーシア21に関しては厚みが18.2mmまたは21.2mmで、ペアガラス用サッシでなければ交換できません。
この点に注意しておきましょう。
新築時にとにかく断熱性能の高い窓を採用したいと考えている方には特におすすめです。
スペーシアガラスの選び方
スペーシアガラスにはさまざまな種類があることについて紹介しました。ただ、自分の場合はどれが良いのかわからないと感じた方もいるのではないでしょうか。種類を選ぶ際には、以下も参考にしてみてください。
種類 | 特徴 |
スペーシア | 断熱性・遮音性が高く、防露性能が特に高い。交換も容易。 |
スーパースペーシア | 遮音性能・UVカット性能が高く、防露性能・断熱性能・遮熱性能が特に高い。 |
スペーシアクール | 断熱性能・遮音性能・UVカット性能が高く、防露性能・遮熱性能が特に高い。交換も容易。 |
スペーシア静 | 断熱性能が高く、防露性能・遮音性能・UVカット性能が特に高い。 |
スペーシア21 | UVカット性能が高く、防露性能・断熱性能・遮熱性能が特に高い。 |
スペーシアガラスへ交換するにあたり、何を重視したいのか考えてみると、適している種類が見えてくるはずです。
他に押さえておきたい選び方のポイントとして、防火性能が要求される窓には、防火タイプのスペーシアが向いています。火災による熱の影響でガラスが破損した場合でもワイヤーからガラスが外れにくくなっているのが特徴です。
また、寝室など、外からの人の目が気になるお部屋には、不透明タイプを検討してみてはいかがでしょうか。スペーシアは実にさまざまな種類がありそれぞれ特徴が異なるので、用途に合ったものを選んでみてください。
スペーシアガラスに交換する懸念点
スペーシアガラスに交換する際は、懸念点もチェックしておきましょう。
気をつけておきたいのが、一般的なガラスと比較して高価であること、重量が大きいことの2つが挙げられます。それぞれ解説します。
一般的なガラスよりも高額になる
スペーシアガラスは、一般的なガラスと比較して高額です。これにはさまざまな理由があります。
まず、そもそもスペーシアは通常のフロートガラスと異なり2枚のガラスの間に真空層を作ることで断熱性を高めているガラスです。ガラスを2枚使用しているので、通常の1枚ガラスよりも高額になります。
また、スペーシアの真空層を作るためには、技術 が必要になること、ガラスの強度を保つためには特殊な部品が必要になることなども値段が高くなってしまう理由です。
そのため、できるだけ値段を抑えてガラスを交換したいと考えている場合には向いていません。
重量が大きくなる
スペーシアガラスは2枚構造のガラスです。そのため、1枚構造のガラスと比較して重量があります。
軽い1枚構造のガラスを使い慣れている方からすると、慣れるまでは違和感を覚えてしまうこともありそうですね。
特に戸車やサッシに問題があると正常な状態と比較して重さを感じやすくなってしまうので、スペーシアに交換する際は戸車やサッシもチェックしてみることをおすすめします。
スペーシアガラスに交換したいときの業者の選び方
スペーシアガラスは、基本的に自身で交換が可能です。そのため、専門業者に依頼する際にかかる費用を抑えられるのが特徴です。
ただ、どの業者から購入するかについてはよく考えておきましょう。
業者を選ぶ際は、ガラスの販売に関する実績が豊富な業者を選ぶと良いですね。ガラスを専門的に取り扱っている業者の方が実績豊富である可能性が高いといえます。
わからないことがあれば、直接問い合わせしてみるとわかりやすいですよ。質問に対する説明が丁寧か、きちんと対応してもらえるかなどをチェックしてみてください。
性能を重視して選びたい方におすすめ
スペーシアガラスは機能性に優れており、種類によって特徴が変わります。リフォームをする際や新築の際、窓ガラスの交換が必要になった際などにスペーシアガラスへの交換を検討してみてはいかがでしょうか。
種類によっては自身で交換ができるので、忙しくてなかなか業者を呼べない方にもぴったりですね。
コダマガラスでもスペーシアガラスを取り扱っています。ガラスの交換を検討している方はご相談ください。