強化ガラス(強化フロートガラス)に弱点はある?長持ちさせるためにできることとは

用途によっては一般的なガラスだと強度に不安を感じることがありますよね。そういった場合は、強化ガラス(強化フロートガラス)の利用を検討してみてはいかがでしょうか。
ただし、強化フロートガラスといっても万能なものではありません。正しく安全に使用していくためには、弱点を知っておくことも大切。
そこで、ここでは強化フロートガラスについて詳しく知りたい方のため、押さえておきたい基本や弱点について解説します。取り扱い上の注意もわかるようになるので、ぜひご覧ください。
強化フロートガラスとは
一般的なガラスはフロートガラスと呼ばれ、これを強化加工したのが強化フロートガラスです。強化フロートガラスは、身近なところだと学校の窓や店の陳列棚、キッチン用品など、さまざまなものに使用されています。
強化フロートガラスの特徴
大きな特徴として挙げられるのが、一般的な板ガラスを高温に熱したあと、急冷している点です。
強化加工されていない一般的な板ガラスの場合、力が加わると力を加えられた部分は圧縮され、その反対側は引っ張られます。この時、圧縮されているのと反対側の面が引っ張る力に耐えられなくなって割れてしまう仕組みです。
強化フロートガラスが一般的なガラスよりも強いのには、圧縮応力層と、引張応力層と呼ばれる層が関係しています。一般的なガラスは650~700℃程度まで熱すると柔らかくなり、空気を吹き付けて冷やすと内部よりも先に表面部分が固まります。
この工程によって、中央付近は引張応力層、それをサンドイッチのように挟むような形で表面部分に圧縮応力層が作られるのが特徴です。これらの層のバランスが保たれることにより、強度を高めています。
特徴①強度が高い
強化フロートガラスは、その名の通り強化されたフロートガラスであり、強度が高い特徴を持ちます。一般的な透明なガラスと比較するとその強度は3~5倍なので、かなり強いことがわかりますね。
一般的なガラスは軽い衝撃でも割れてしまうことがあるので、簡単に割れると困るものには強化フロートガラスが使用されています。
特徴②厚みがある
強度を出すためには、厚みが必要です。そのため、強化フロートガラスは一般的なガラスと比較して厚みがあります。目安としては4mm~となっているので、薄さが求められる場合には向いていません。
特徴③粉々に割れる
通常のガラスは割れると大きな破片になりますが、強化フロートガラスは細かい粒状になって割れるのが特徴です。これは、外部から衝撃を受けるなどすると強化フロートガラスに作られている引張応力層と圧縮応力層の釣り合いがとれなくなることが関係しています。
ガラスが割れて大きな破片になると鋭利な刃物のような状態になり、大変危険です。一方、粉々になる強化フロートガラスはそのような状態になるガラスと比較して怪我をしにくいので、安全ガラスとも呼ばれています。
強化フロートガラスにも弱点はあるの?
強化フロートガラスといえばとにかく衝撃に強く、弱点はないように思いますよね。ですが、確かに一般的なフロートガラスと比較して熱や力に強いものの、弱点は存在します。
ここでは利用するうえで押さえておきたい弱点について5つ紹介していきます。
小口への衝撃に弱い
強化フロートガラスは小口への衝撃に弱い特徴を持っています。小口とは、ガラスを切断した断面(端の4辺)のこと。
広い面としての衝撃には強いものの、小口はそれほど強くない力で叩くだけでも割れてしまいます。
紹介したように強化フロートガラスは引張応力層が圧縮応力層で挟み込まれることにより強度を作っていますが、断面部分への衝撃ではこれらの層による強みが発揮されないためです。取り扱う際はガラスの断面に衝撃を加えないように注意しなければなりませんね。
一か所に力が加わると割れる
強化フロートガラスは広い面にかかる力には比較的強いものの、一か所に力が加わった場合は割れやすい特徴を持ちます。先のとがったものが当たらないように注意が必要です。
また、先がとがっていなくてもハンマーのように一点に集中させて力を加える場合も同様に割れやすい弱点を持っています。
自然に破損する可能性がある
高い強度を持つはずの強化フロートガラスでも、自然に破損することがあります。ガラスの表面部分に作られている圧縮応力層への衝撃には強いのですが、その先にある中央部分の引張応力層まで衝撃が届いた場合は割れてしまうこともあるので注意したいですね。
また、圧縮応力層でとどまっていた傷が少しずつ内部の層にまで侵食してしまうこともあります。こういった場合は、全く力を加えていないタイミングで割れてしまうことも。
小さな傷がついてから時間が経過した後に割れる形となるので、前触れもなく突然割れたように感じてしまいます。
また、製造する際、ガラスの内部に不純物が混入している場合も割れる原因となります。ただ、不純物が混入しているかどうかはなかなかわかりませんよね。
信頼できるメーカーから製品を購入することをおすすめします。
防犯対策には向いていない
強化フロートガラスといえば、不審者に侵入されないための対策として防犯ガラスに使われているイメージを持っている方もいるのではないでしょうか。ですが、強化フロートガラスと防犯ガラスは別物です。
防犯ガラスは2枚のガラスの間にフィルムを挟むことによって、ハンマーなどで叩いても割れにくい作りとなっています。一方、強化フロートガラスの場合は面への衝撃には強いものの、点での衝撃に弱く、ハンマーで力を加えれば割れてしまうので防犯の用途で使うのには向いていません。
加工が難しい
強化フロートガラスは基本的に加工ができません。これは、通常、カットや加工を施してから強化処理を行うためです。強化を行ったガラスに対し、再加工を行うことはほぼ不可能となっています。
無理に強化済みのガラスをカットしようとした場合、圧縮応力層と引張応力層のバランスが崩れることになり、粉々になってしまう可能性も。そのため、指定サイズの強化フロートガラスを入手したい場合は、事前に希望の形にカットしてから強化加工を行うことになります。
強化フロートガラスを長持ちさせるためにできること
強化フロートガラスをできるだけ長持ちさせるためには、いくつかのポイントがあります。
まず、お手入れは丁寧に優しく行うのがポイント。いくら強化されているといっても、雑に取り扱うと傷がついてしまう恐れがあります。傷がつかないように注意が必要です。
たとえば、汚れているときにクレンザーを使用して掃除したいと思うこともありますよね。ですが、クレンザーを使用すると細かい傷がついてしまいます。柔らかい布でお手入れするのがおすすめです。
また、飛散防止フィルムを張ることも効果的です。
それから、強化フロートガラス単独ではなく、合わせガラスにするのもポイント。合わせガラスとはガラスの間にポリビニルブチラールなどの樹脂膜を挟み、接着したガラスのことをいいます。合わせガラスといってもさまざまな種類があるので、用途に適したものを選んでみてくださいね。
強化フロートガラスならではの特徴を確認しておこう
強化フロートガラスは一般的なガラスと比較すると3~5倍ほどの強さを持っているということもあり、さまざまなものに使用されています。ただし、今回紹介したように弱点もあるので、確認したうえで安全に使用していきたいですね。
断面は衝撃に弱いこと、防犯には使えないことなどについても理解が必要です。
コダマガラスでも強化フロートガラスを取り扱っています。オーダーサイズの商品をお届け可能なので、ぜひご相談ください。