透明ガラスの種類と選び方について
透明ガラスを種類別で解説!目的や用途にあったガラスを選ぶ方法
窓ガラスには透明ガラスが使われることが多くあります。
透明ガラスといえば、フロートガラス(普通透明ガラス)を指すことが多いです。
しかし、見た目は同じ透明でも、ガラスにはさまざまな種類があります。
少しずつ違う透明ガラスの特徴と用途について、それぞれ解説していきます。
透明ガラスの種類と特徴一覧表|用途にあわせて選ぶ
ガラスの種類 | 特徴 |
---|---|
フロートガラス |
・安価で使いやすい ・スタンダードな透明ガラス ・厚みの種類が豊富 |
強化フロートガラス |
・ケガのリスクが少ない ・強度が高い ・耐熱性がある |
高透過ガラス |
・無色透明に近い ・さまざまな加工が可能 ・展示ケース等に使われる |
熱線吸収板ガラス |
・装飾用としても使える ・4色から選べる ・まぶしさを和らげる |
防火ガラス(パイロクリア) |
・視線を遮らない ・防火設備として使える ・衝撃に強い |
低反射ガラス |
・映り込みを抑える ・特殊膜のコーディング ・低反射フィルムを貼る方法もある |
薄板ガラス |
・厚み2mm未満のフロートガラス ・保護ガラスなどに使用される ・建材や家具には使われない |
テンパックスフロート |
・耐熱ガラス ・透過性が高い ・厨房の間仕切り等に使われる |
ファイアライト |
・耐熱温度が750℃ ・うっすらとしたあめ色 ・直火のあたる場所にも使われる |
フロートガラスは一般的に目にすることが多い透明ガラス
フロートガラスとは?
透明ガラスといえばフロートガラスです。
用途として一番多いのは、やはり窓ガラスです。
店舗ではショーウインドウやショーケースにも使われます。
その他に、ガラス棚や扉・引き戸、テーブルの天板など、さまざまなシーンで活躍します。
フロートガラスの厚みはさまざま!飛散防止フィルムを貼ることもある
建材用のフロートガラスの厚みは、2/3/4/5/6/8/10/12/15/19mmがあります。
他に、薄板ガラスとしては、0.4/0.5/0.55/0.7/1.1mmなどがあります。
それぞれ用途やサイズによって使い分けられています。
安全性を高めるために、透明の飛散防止フィルムを貼ることもあります。
フィルム貼付による見た目はほぼ変わりません。
強化フロートガラスは割れた時粉々になる安全な透明ガラス
強化フロートガラスとは?
強化フロートガラスは、フロートガラスを熱処理することで、3~5倍程度の強度を持たせたガラスです。
割れた際に粉々になるため、破片で怪我をする危険性が少なく、安全なガラスとされます。
見た目はフロートガラスとほとんど見分けがつきません。
そのため、メーカーのマークが入っていることがあります。
強化フロートガラスの見分け方!フロートガラスより耐熱温度が高くダイニングにも使える
フロートガラスと比較して、割れ方に大きな違いがあります。
割れたときにフロートガラスか強化ガラスが判断できます。
また、偏光板を使うことで強化ガラスかどうかを確認できます。
強度が高いことから、ガラス扉や穴加工したガラスに用いられます。
耐熱温度も、150℃~200℃程度あります。
キッチンコンロ前のオイルガードのガラスや、ダイニングテーブルトップのガラスにも使われます。
高透過ガラスは展示ケースなどに使われる透過率の高いガラス
高透過ガラスとは?
高透過ガラスは無色透明に近いガラスです。
フロートガラスに比べ透過率が高く、緑色の成分が少ない点が特徴です。
高透過ガラスは厚みバリエーションが豊富!色を正確に見せたいケースなどに用いられる
高透過ガラスの厚みの種類は、3/4/5/6/8/10/12/15/19mmがあります。
フロートガラスと同様に、さまざまな加工が可能です。
色や透過率の高い製品をつくる際には、高透過ガラスを使用することが多いです。
主な用途として、美術館や高級ブランドショップの展示ケースなどがあります。
ガラス越しで見て、色を忠実に表現したい場面に使用されます。
熱線吸収板ガラスは装飾用として使われることが多いガラス
熱線吸収板ガラスとは?
熱線吸収板ガラスは、製造時に金属を加えて着色した透過ガラスです。
色はグレー、ブロンズ、ダークグレー、グリーンがあります。
透過はするものの着色されているため、見えにくくなっています。
熱線吸収板ガラスは窓用ではなく家具やパーテーションなどが主流になった
用途として、近年では外光用の窓として使用されることはあまりありません。
装飾用として、ガラス扉やガラス棚、天板、パーテーションなどに使われることが多くなっています。
防火ガラス(パイロクリア)は視線を遮らない防火設備用ガラス
防火ガラス(パイロクリア)とは?
防火ガラスとは、防火設備として使用が許可されたガラスです。
同じ用途で使われる網入りガラスと比較してクリアで、視線をさえぎらないのが特徴です。
パイロクリアの見た目はフロートガラスとほぼ同じだが四方枠が必要
ガラスの周囲にアルミテープを巻いた製品となります。
ガラス1枚に対し、四方枠が必要になります。
防火ガラスの場合、見た目はフロートガラスとほぼ変わりません。
防火設備としての使用を想定していることから、ガラスの隅に刻印がされています。
低反射ガラスは映り込みを抑えるコーディングを施したガラス
低反射ガラスとは?
低反射ガラスとは、反射による映り込みを抑えたガラスです。
フロートガラス、もしくは高透過ガラスの表面に特殊な膜をコーティングしています。
低反射ガラスには、AGC製のクリアサイトⅡや、海外製の低反射ガラス(GG)があります。
また、低反射フィルムを貼る方法もあります。
低反射ガラスは展示ケースやショーウィンドウに使われることが多い
主な用途として、美術館・博物館の展示ケースのガラスや、高級ブランドショップのショーウインドウ、ショーケースなどがあります。
薄板ガラスは厚さ2mm未満で建材や家具には用いられないガラス
薄板ガラスとは?
薄板ガラスとは、厚み2mm未満のフロートガラスです。
薄板ガラスは建材用ではなくカバーガラスとして用いられることが多い
用途としては、光学用機器やOA機器のカバーガラス、液晶ディスプレイの保護ガラス、その他研究用や試験用ガラスとして使用されます。
建材や家具用のガラスとしては使われません。
テンパックスフロートは無色透明に近い耐熱ガラス
テンパックスフロートとは?
テンパックスフロートとは、透過性の高い耐熱ガラスです。
無色透明で、ホウケイ酸ガラスとも呼ばれます。
テンパックスフロートは厚みの種類が豊富!医療用などでも幅広く利用されるガラス
フロートガラスは緑色が入っていますが、テンパックスガラスはより無色透明に近いです。
側面から見ると、その違いがはっきりわかります。
厚みのバリエーションが0.7/1.1/1.75/2.2mmと多くあることも特徴です。
建材用としては、厨房の間仕切りや、照明カバーガラス等で使われます。
機械の窓や医療用、その他産業用途として幅広く使用されています。
ファイアライトは直接火のあたる場所でも使われる耐熱ガラス
ファイアライトとは?
ファイアライトは、熱膨張係数がほぼゼロの耐熱ガラスです。
熱膨張係数とは、温度の上昇で物体が膨張する割合のことを指します。
日本電気硝子社製で、耐熱温度が常用使用で750℃と高い点が特徴です。
見た目はうっすらとしたあめ色(オレンジ)です。
フロートガラスは緑色、テンパックスが白に近い無色透明、ファイアライトがあめ色(オレンジ)と、それぞれ違いがあります。
ファイアライトは薪ストーブののぞき窓などに使われる厚めのガラス
厚みのバリエーションは、5mm/8mmがあります。
同素材のもので、ネオセラム(厚み3mm/4mm)があります。
薪ストーブや各種窯ののぞき窓など、直接火のあたる場所や、厨房の間仕切りなどに使われます。